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家に戻ろうとした母「夫と子供が中に」…青森火災(読売新聞)

 泣き叫ぶ母親の声が、冷え込んだ早朝の住宅街の静寂を破った。

 10日朝、青森市大野の会社員奈良稔之さん(33)方であがった猛火は、幼い子供らを残したまま家をのみ込んだ。年明けの連休、一家を突然襲った悲劇に、親族や周辺の住民は深い悲しみに暮れた。

 「まだ、お父さんと子供が中にいるの」。奈良さんの妻の由貴さん(31)は、煙に気づいて駆けつけた近所の今村勉さん(62)に叫んだ。

 「今入ればあんた死ぬぞ!」。今村さんが、家に戻ろうとする由貴さんの両肩を必死で抑えると、由貴さんはひざを震わせ、その場で崩れ落ちた。家はまもなく炎に包まれ、焼け跡からは稔之さんと長男悠哉君(7)、次男朋哉君(5)とみられる3人の遺体が見つかった。

 家主の佐藤一春さん(65)によると、奈良さん一家4人は昨年10月に引っ越してきた。2人の子供が、両親と楽しそうに雪遊びする姿が目に焼き付いている。「あの幸せそうな家族がこんなことになって、とてもやりきれない」。佐藤さんは嘆いた。

 由貴さんの搬送された病院には親類が悲痛な面持ちで集まった。由貴さんの母親によると、由貴さんは連休中の子供らと親類宅に泊まり、映画を見に行く予定だった。母親は、「子供たちは出掛けるのを楽しみにしていたのに……」と、やっとの声を絞り出し、「孫のために編んだマフラーがもう少しでできあがるところだったのに」と肩を落とした。

 稔之さんは、市内の自動車販売会社の支店に勤務。店長の男性(59)によると、休日には子供たちと出掛け、出勤前には悠哉君を学校に連れて行く家族思いの父親だった。男性は「昨日の夜まで元気だっただけに、信じられない」とやりきれない表情を浮かべた。

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